一流のオバサン達
地曳さんの本で読んだのは「50歳、おしゃれ元年。」「服を買うなら、捨てなさい」「着かた、生きかた」に続いて4冊目です。
文章でぐいぐいと読ませてもらえたのは、
「50歳、おしゃれ元年。」 対して、この
「大人のおしゃれ Do!&Don't」 は、槇村さとるさんとの会話の部分や、イラストが主役か本文が主役かわからないくらい濃い見開き部分に、お二人ならではの面白さが宿っているように思います。
「戦後の復興期を経験した親に育てられた」
「洋服を捨てることに対する罪悪感、という呪いがかかっていて捨てられない」
「捨てられないけど、センス悪いと思われるのは嫌なんだよね」
という人なら(私も)、下のようなフレーズにドキッとするかもしれません。
「やせたからって、おしゃれにはならない」
「脂肪のことを考えている暇があったら、筋肉と骨を考えろ」
「まず自分を認めて、自分を愛して、傾向と対策を練る」
「昔の自分のいいときで選んじゃいけなくて、今の人の意見は聞いた方がいい」
「重いものはすべてダメですね。重いコート、重いバッグ、重いネックレス、重いピアス。なぜなら人生がもう重いから」

大人向けのファッション指南の本も、今はたくさん出ていますね。主流なのはやはり、シンプルで良い物だけを持ちましょうということ。私には遠い話の。
地曳さんの提案でも、「これは庶民には無理ですよ」と言いたくなる内容が出てきます。でも、そればかりじゃない。
どこにどうお金を使うかだけでなく、何をどのあたりで諦めるかを明確に打ち出しておられるからわかりやすいのです。
自分にあてはめて考えると、お金の使い方も「こうありたい」という願いも中途半端なまま選んだ服は、結局はあまり着なかった。しかも、そういう服に限って捨てにくかったです。
スパッと判断できると楽しいだろうなぁ。
ハッキリ言われて痛快!
私がいちばん納得したのは「大人は毎日、体から悪い物が出ている」のところにある話。
人は見た目が9割かそれ以上だと思っています。人格も表に出る(出てしまう)年齢になりましたから。でも、もっと気にするようになったのが「汚くないか」ということです。
なかなか気づかないんですよね、自分を覆う見えないものの存在。
そういう問題を、どうすれば解決できるか具体的に書かれています。

こんなふうに思っている人におススメです
◎服が多すぎるのはわかっているし、捨てようとは思っているけど、踏ん切りがつかない。
◎できれば清潔感のある、そこそこお洒落なオバサンになりたいし、そう見られたい。
◎かといって、服や靴や自分に、そんなにお金はかけられない。
◎ダイエットのために好きなもの断ちする生活も、もう無理。
お洒落に敏感な人なら、今どきのブラウスの着方やワンピースの選び方など、知っている内容や既に実践していることも多いかもしれません。でも、もしまだ読んでいないなら、ぜひ手に取ってみてください。
モヤモヤしている部分に直接とどくような毒舌でも、嫌味がありませんから。
一流のオバサン同志が、あーだこーだ言いながら、すぐ傍で
「あなた、もう、そういう点は諦めて、こういう事にお金かけなさいよ」なんて言ってくれてるようで、安心しながら笑えます。
時に昭和の言葉が飛びかいますが、それも面白い。元気をもらえることも、本を読む楽しみの一つに入れていいと思っています。
地曳 いく子,槇村 さとる 集英社 2016-07-26