昨日の夕方は、町のサイレンがなるほど大雨が降りました。強い風と雨は1時間以上、いえもっと続いたように思います。
そんな日でしたが、私にとっては夢のような一日になりました。
うれしいことは2つありました。
どしゃ降りの雨で立ち往生
蒸し暑かった昨日は、久しぶりに近鉄電車に乗って出かけていました。
帰り、駅を出のは4時すぎ。空の向こうは怖いほど暗かったです。
歩いて2,3分したあたりで風が急に強くなってきて、ぽつぽつと大粒の雨が降りはじめました。
その雨は、1分も経たないうちに暴風雨になりました。
それでもなんとか道沿いのお宅のガレージまでたどり着き、雨宿りさせてもらうことに。
ガレージの下にいても雨が入ってきます。
デイサービスの施設には、私が出かけることを伝えてありましたが、送迎バスが家についたとき私が留守だと、義母が騒ぎます。
「まいった。この大雨じゃ動けん」
と途方にくれていたら、白い商用車がいったん私の前を通り過ぎたあと停車しました。
通りすがりの車が停まってくれた。ためらわずに乗ったワケは
車を降りて、傘もささずに走り寄ってきてくれたのは、地元の葬儀社の人でした。
車にはその会社の名前が。
「よかったら乗ってください」
そう言われて一瞬ためらいましたが、ぐしゃぐしゃにたたんだ傘をにぎりしめたまま、乗らせてもらいました。
お互い全身、ずぶ濡れです。
「ふだんならこんなこと、お声かけたりしないんですけど」。そう言いながら、葬儀社の人は車を出してくれました。
しばらく世間話をしたあと、私はこう切り出しました。
「実は私、お顔を憶えています。6年前、葬儀でお世話になりました」
「あ!やはりそうでしたか。なんとなく見覚えがあるなと思いました、僕」
「先月、ちょうど七回忌をすませたところでした」
「そうでしたか…」
「息子が呼んでくれたんですかねぇ、大雨で動けなくなっていた私のために。あのときは本当にお世話になりました」
葬儀社の人は、道も思い出したようで、「ここを左で、次を右に入るんでしたね」と言いながらハンドルを切ってくれました。
空はまだ真っ暗で冷たい雨が降り続いていましたが、私の心のなかは車に乗せてもらっていた数分で温かくなりました。
重い知的障害のあった息子は6年前の5月末に亡くなりました。
ブログ村テーマ 障害児の家族ってのもいいかも大阪の地下街で、娘のように若いブロガーさんと会っていた
久しぶりに近鉄電車に乗って出かけたのは、東京から親子で旅行に来ておられたブロガーのくまみさんにお会いするためでした。
くまみさんのブログはこちら→
「くまみいろ」息子くんとくまみさんは、二人とも大きな瞳がかわいくて魅力的でした。
短い時間でしたけど、くまみさんとお話していると、自分がどんどん幸せな気持ちになっていくのを感じました。
人を喜ばせる、という才能
帰りの電車のなかで考えていました。なぜ、くまみさんと話していたら幸せな気持ちになったのか。
それは、人を喜ばせる才能が、くまみさんに元々備わっているからではないかと思いました。
会話の端々で感じていたのです。言葉の選びかたが素敵だと。
人をうれしい気持ちにさせる言葉というのは、無数にあるようで、実は限られていると思います。
ブログのように記事にするならあとから修正もできますが、会話はそうはいきません。
瞬時に、最適な言葉を選ばないといけない。
私はもうこんな年になりましたけど、今からでも、人を幸せな気持ちにさせる言葉をさっと選べる人になりたいと思いました。
やなせたかしさんの言葉
「人は、人を喜ばせることが一番うれしいんだ」
なにかの雑誌で読んだ、やなせたかしさんのこの言葉を、家に帰ってひと息ついたとき思い出しました。
アンパンマンが大ヒットするまでには時間がかかったそうで、そのエピソードのなかに、この言葉がありました。
ブログやツイッターで交流していたとはいえ、初対面だった私を、くまみさんは短い時間のなかで幸せな気持ちにしてくれました。
そんな言葉を、いくつも投げかけてくれたのです。
大雨のなかで私を拾い、車に乗せてくれた葬儀社の人も、私を喜ばせてくれました。
息子の葬儀のとき、静かに寄り添ってくれていた人でした。控室に家族を呼びに来てくれたときのことも、あとから思い出しました。
今、理解できないような事件が次々と起こっています。
地方に住んでいる私でも、家を出た瞬間から、まわりを気にするようになりました。運転していても、歩いていても。
でも、人を喜ばせる力は、どんな人にも備わっていると信じたいです。
それを生かすことなく不信感いっぱいで暮らすより、少しでも縁のあった人とは温かい気持ちで接していきたい。
そんなことを思った、夢のような一日でした。
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